京都大学総合博物館2023年度企画展
文化財発掘Ⅹ 比叡山麓の縄文世界
2015年に始まった「文化財発掘」も今回で10回目を迎えました(終了しました)。
京都大学構内に所在する縄文時代から近代にわたる各時代の遺跡について、多様な角度から掘り下げた展示は、冬から春にかけての総合博物館の恒例行事となっています。
毎年この展示を楽しみにして、博物館を訪れて下さるリピーターの方が多いのも大きな特徴です。
今回の「文化財発掘」は第10回を記念し、例年お届けしている特別展でなく、より大きな規模となる企画展として開催いたします。
展示の対象となる遺跡も、大学構内や比叡山麓の西側にとどまらず、琵琶湖を望む比叡山東麓に分布する遺跡も含めて、照葉樹の森に展開した「比叡山麓の縄文世界」を一望いただける内容となっています。
その礎となったのは、比叡山の西麓においては、1923年に濱田耕作が京都大学北部構内の散策中に石斧を発見して以来、構内遺跡の調査研究が重ねられてきたほか、京都市内の各所で縄文遺跡の調査が進んできたことです。
そして東麓においては、1948年に滋賀里遺跡で発掘調査が行われたことが大きな契機となりました。
そのとき出土した縄文土器の一部は、総合博物館常設展示室の一角に、近畿地方の縄文晩期土器編年の基礎資料として長らく展示されてきましたが、昨年に刊行された『滋賀里遺跡資料図譜』と、今回の展示をもって、滋賀里遺跡における最初の調査成果の全貌がようやく明らかになったといえます。
近畿地方の縄文時代研究に大きな影響を与えてきた資料群とともに、最新の調査成果も交えた展示をごらんいただき、縄文世界の奥行きを感じていただければ幸いです。
この展示に関連して、京都府立図書館で連携展示が開催されました(2024.03.06~05.22、遺物の展示は 03.29~)。詳しくは
こちら
をご覧下さい。
当部門から、北白川追分町遺跡より出土した縄文土器・石製品を出展いたしました。