科研費による共同研究に伴う北部構内遺跡探査(2023.02.04)

京大文化遺産調査活用部門のメンバーが中心となって進めている共同研究(科学研究費補助金基盤研究(C)22K00985「「都市化」とは何かー歴史都市京都近郊における長期的検証ー」代表・伊藤淳史)の一環として、このたび、吉田キャンパスの北部構内において遺跡レーダ探査をおこないました。
これは、昨年度までの科研費による共同研究(通称「白川道プロジェクト」)を継承する活動で、本部構内を中心にしてきた中~近世白川道や幕末期尾張藩邸の探究成果を踏まえつつ、あらたに北部構内での古代の道路や幕末期土佐藩邸の把握などを目的に実施したものです。

構内での遺跡探査は、2019年度の本部構内に次いで2度目となります。まず事前に、予定箇所付近の路上に、(公財)京都市埋蔵文化財研究所のご協力でGPSを用いた測定により国土座標基準点を設置しました(写真1)。

作業風景・国土座標基準点の設置
【写真1 国土座標基準点の設置】
作業風景・レーダ機器による探査の様子
【写真2 レーダ機器による探査】
作業風景・地中電気比抵抗探査中
【写真3 地中電気比抵抗探査】

その後、前回と同様、多くの探査実績をもつ天理大学文学部歴史文化学科考古学・民俗学専攻の教員・学生諸氏のチームと機材の力をお借りして、北部構内の理学部6号館西側の空閑地に調査区を設定し、レーダ機器を南北・東西に幾筋も往復させました(写真2)。さらに今回は、地中電気比抵抗探査と呼ばれる手法により、詳細な測定をあわせて実施し、解析資料の充実をはかりました(写真3)。

この地点は、東側で確認されている平安時代の東西道路遺構の延長がはしると予想され、古代の白川道を探索する上で重要な位置にあたります。また、幕末期の土佐藩邸は、南辺の濠以外に範囲や構造にかかわる情報が乏しく、西辺や北辺に相当する可能性があるこの一帯は、成果が得られれば大きな研究の前進が期待されます。今後、得られたデータを解析して遺構の存否を検討し、試掘調査など、さらに研究を進めていきたいと考えています。

座標設置の作業をいただいた(公財)京都市埋蔵文化財研究所、探査にご尽力いただいた天理大学関係者の皆様、そして、現地での作業を許可いただいている本学施設部や理学研究科の各位に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

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