発掘速報
京都大学北部構内 北白川追分町遺跡(2025年度)
2025年11月07日(金) 大学演習林となる前の耕作痕跡の調査
(文化財発掘Ⅺ展示リーフレット『吉田遺産探訪』2025年より)】
近世~近代とみられる遺物包含層の掘り下げと遺構検出をひきつづき進めており、調査区の南辺付近まできました(写真1)。 巨木の現存根株や、不定型な抜き取り穴に加えて廃棄物を埋めている穴なども加わり、その検出と掘削に相変わらず難渋しています。
そうしたなか、演習林内のかつての道路より東側にあたる調査区の東辺(写真の右寄り)では、耕作にともなう痕跡と思われる無数の小穴群が、下部の黒褐色土上面で列を成してひろがっていました(写真2)。
多くは扇形の平面、三角形の断面をもっており、上部の層から打ち込まれた鋤先などが及んだものが中心になるのではと想定されます(写真3)。
検出面である黒褐色土は、古代以前の土層とみているものですが、その上部には中世の遺物包含層は堆積が確認されず、撹拌された黒褐色土のブロックが混じる近世~近代層が厚く覆っていました。
おそらく近世以降の耕作などにより撹拌や削平を被って、層としては認識できなくなってしまったのではと推測しています。
こうした耕作の痕跡は、鋤先の痕跡だけでなく、根菜類などの根茎痕などもこれまで構内ではしばしば確認されています(参考写真)。
中世後半期以降に顕著となるようで、この地一帯の土地利用の変遷を考えていくうえでも、貴重な情報を提供してくれています。